『 海神 ( わだつみ ) の ― (1) ― 』
****** 始めに ******
このお話を読み始める前に 原作 『 海底ピラミッド編 』 を
ちょこっと思い出してみてください。
冒頭のトコロ くらいで大丈夫☆
全体のハナシとしては 原作後半とは全く関係のない 例によって
ワタクシの激しい妄想話 ですので・・・ <m(__)m>
ガラ −−− ・・・・
彼女は 窓を全部、思いっ切り大きく開けた。
ふわあ〜〜〜〜〜ん ザザザ −−−−
潮の香を含んだ風が わあ〜〜と入ってきた。
波の音が 今朝も(当たり前だけど) 淡々とそして力強く聞こえてくる。
「 ん〜〜〜〜〜 ・・・ ああ いい気持ち 〜〜〜 」
窓の側に立ち 眼下の海に向かって大きく深呼吸〜〜〜
「 ・・・ うふふ〜〜〜 海のチカラが入ってくる〜〜〜
波の音って アタシの心音だと思うのね〜〜〜
うふふ もりもり元気になってきた〜〜 あ〜〜
エネルギ〜〜〜 充填120% ! ってね〜〜〜〜 」
さあ 今日も頑張りまあす〜〜〜
海神さま〜〜〜 奉納いたしますぅ〜〜〜 」
彼女は ぶんぶん〜〜 両手を振ってから
どお〜〜ん
片脚を耳の横まで上げてからチカラ強く 四股を踏んだ ―
まさに その時 ―
コンコン カチャ −−−
「 サトナカ先生〜〜 おはようございます 失礼します〜 」
きっちり髪を結いあげ 看護士ユニフォームに身を固めた女性が
大真面目な表情で ドアを開けた。
「 〜〜〜! あ ああ〜〜〜 おはよう〜 ゴザイマスゥ〜〜
モリ看護士長 〜〜〜 」
サトナカ先生は だん! と両脚で床を踏みしめたまま に〜〜〜っと笑った。
「 あら 先生。 床 どうかしましたか 」
看護士長は顔色ひとつ、声のトーンひとつ 変えない。
ごく当たり前の ふつ〜〜の表情でサトナカ医師を見つめている。
「 え あ〜〜 ううん あ これねえ ヨガのポーズなのよ
ほら〜〜 こうやってねえ〜〜 お花のぽ〜ず〜〜 」
「 はあ ・・・ 」
「 あのね こうするとねえ 大腿骨周辺の血流が〜〜
えっと リンパの流れもよくなって すっきり一日が〜〜
そ そうなのよ! 女性におススメのポーズでね ・・・ 」
ポーズ中の彼女の方が 焦りまくって言い訳100万回 である。
「 はいはい わかりました。 で 朝イチの伝達事項ですが 」
「 ああ はい〜 ちょっと待って〜〜 」
サトナカ先生は 横っ跳びにデスク脇にもどり ( 一回ずっこけ )
それでもなんとか タブレットを取り上げた。
モリ看護士長は 終始 < 見ないフリ >、 冷静そのもので
伝達事項を再確認している。
― つまり サトナカ医師のこの行状は 毎朝のコトであり
この病院内では 全職員が( 掃除のおじちゃん・おばちゃん達も )
熟知しており 慣れっこになっているってことなのだ。
「 ・・・・で・・・ であります。 」
「 はい 了解しました。 夜勤 ご苦労様でした。
では ワタクシが引き継ぎます。 」
「 はい。 お願いいたします 」
ほ・・・っとした空気が 部屋に満ちた。
「 今日も いいお天気ね〜〜〜 気持ちいいわあ〜〜〜 」
「 先生。 窓をお開けになってお寒くありませんのですか?
ヒーターは 」
「 へ〜き へ〜き アタシ貧乏性だからね〜〜
やたら温かいのは苦手なのよ〜〜 朝の空気がイチバン! 」
「 ・・・ ま ひとそれぞれですので 」
ヴィーーーーーー 鋭いコールが鳴り響いた。
「 ! 」
「 ・・・ 」
二人は さっと表情を引き締め早足で医局に駆け付けて行った。
ほんの一瞬 医局は緊張が走ったが ― 医師たち 看護士たち は
すぐにてきぱきと動きだす。
短いが的確な言葉の応酬、外からの連絡、出入りする足音は増えてきたが
そこに余分な緊張や焦りは 微塵もない。
誰もが最短距離で最高の効果をもとめるために 集中している。
サトナカ先生 は てきぱきと指示を出しつつ
ふ・・・っと 窓の外に視線を投げた。
「 うん。 海も元気ね。 やれるわ! おし! 」
その日 早朝に起きた海での事故は 病院側の超〜適切で素早い
行動により 人命の重度の損傷は免れた。
「 ― お〜らい。 ありがとう みなさん 」
サトナカ先生は 執務室に戻る最中にもまた 海にちらり、と
視線を送った。
ああ あの日も こんな感じだったわ ・・・
私ね 海の側なら ― なんとかなるの。
なんだって チャレンジする、 そして 勝つ。
ええ あの時から ・・・
ねえ お父さん。
そして < みなさん >
サトナカエミの父親は 名人ともいわれるほどの有能な潜水士だった。
もっとも娘である彼女がそれを知るのは 少し後だったけれど・・・
パパは御仕事で出張。 母はいつもそう言っていた。
父は 確かに留守は多かったが 家にいれば頼もしくて優しい お父さん で
たびたび海岸に遊びにつれていってくれた。
エミは気が付けば 泳げるようになっていたし
海辺のイキモノも 歩けるようになれば皆トモダチ だった。
パパは 海を眺めつついつもエミに話してくれる。
「 なあ エミ。 海にはな 神様がいるんだ 」
「 かみさま? 」
「 そうさ。 いつも じっとイキモノを見守っている。 」
「 ・・・ ふうん? 」
「 だから。 神様に恥ずかしくないように 生きる。
それが 海を愛するモノの生き方なのさ 」
「 ?? 海がすき ってこと? 」
「 ああ そうだな。 エミもず〜〜〜っと海が好きって
思っててほしいなあ パパは 」
「 エミね! 海 大好きだよ!
そんでもってね パパも大好き〜〜〜 」
「 あは そうか そうか〜〜〜
パパも 海と エミのママと エミが大好きさ 」
「 いしょ〜〜〜〜 」
あははは えへへへ きゃあ〜〜〜〜
そんな父を母はいつまでも熱い視線で見つめていた。
― あれは ・・・・ まだ 彼女が学齢に達する少し前のこと。
ある日。
「 エミちゃん。 一緒に来て 」
珍しく険しい顔をした母が 彼女を呼ぶときゅうっと抱きしめてくれた。
「 ?? どうしたの ママ 」
「 パパが ね。 お仕事で ・・・ 怪我をしたらしいの 」
「 !? パパ ・・・ いたいの??? 」
「 わからない。 とにかく今は保護されているのですって。
だから 一緒に会いにゆきましょう
」
「 うん! エミ パパのイタイの とんでけ〜〜ってできる 」
「 そうね そうね さあ 大急ぎで着替えてきてね
ママ クルマを出すから 」
「 はい 」
エミは 初めて自分だけで服を全部着替えた。
そして ― ママのクルマで あの邸へ行った。
「 ・・・ ママ ここ びょういん? 」
「 さあ ・・・ でもここにパパがいるのですって。
怪我をしているって・・・ 多分 お医者様がいらっしゃるのでは
ないかしら 」
「 ・・・ あかるいおうち ・・・ 海のちかくで いいなあ 」
「 そうね。 えみ、いいこにできるわね? しずかにしてね。
パパは怪我をしているのよ
」
「 はい ママ。 」
いらっしゃいませ
ドアを開けて迎えてくれたのは 金髪の若い女性だった。
「 あ あの サトナカと申しますが 」
「 はい お待ちしておりました。 ミスタ・サトナカの
奥様ですね? 」
「 は はい・・・ ウチのヒト・・・いえ 主人は ・・・? 」
「 どうぞ。 こちらへ。 ご安心なさって ・・・
ミスタ・サトナカはご無事です 」
「 そ そうですか ・・・! 」
「 ・・・ ママ ・・・ いたい ・・・ 」
「 あ あら ごめんね エミ 」
母は 無意識にぎゅう〜〜っと握っていた娘の手を
慌てて離した。
「 こちらへ ・・・ 博士〜 いらっしゃいましたよ
ああ お嬢さん ・・・ エミちゃん?
お姉さんと一緒に こっちで待っていましょうか 」
金髪美人は そんな風にやさしく呼びかけてくれた。
「 ・・・ う ん あの ・・・? 」
「 わたしは フランソワーズ というの。 」
「 お姉ちゃん ・・・ おいしゃさん? 」
「 え? ううん ちがうわ。 どうして? 」
「 だって ママが ・・・ パパがおけがしているって 」
「 大丈夫 パパはお元気よ。
ただ ・・・ ちょっと大変なお仕事の後で疲れていらっしゃるみたい 」
「 そう ・・・ 」
「 だから えみちゃんは お姉ちゃんとこちらで
過ごしましょう? そうそう イチゴ・ジュースがあるの。
一緒に飲まない? 」
「 うん!! 」
― その日 エミ自身にはそのお姉さんと楽しいひと時をすごした思い出がある のだが。
実際は かなり違っていたらしい。
「 小サナ子ニハ まいなすノ経験ダヨ 」
「 そらそうであるな 幸い無事だったが 」
「 ジョーはんが気ィを利かせてくれはったよって 」
「 へ! 誘拐されそうになって 銃撃戦して奪取〜〜 なんてよ〜
B級アクション動画 じゃんか 」
「 ― 剥きつけに言うな。 」
「 イワン それじゃ 頼んでいいかな? 」
「 じょー。 おっけ〜 タノシイオモイデ ニ変エトクヨ 」
「 頼むね ・・・ あ そこに さ。 あ〜 フランも出演かい? 」
「 おいおい ボーイ? お前さんの < たのしいおもいで >
じゃあないのであるよ?
そ〜れとも 特別ゲストで 参加したいのかな?? 」
「 やめておけ。 赤い服で銃をぶっぱなす は
幼女むけのキャラクターではないだろう 」
「 お〜〜〜っとぉ? それって差別発言くさ〜〜〜 ★
オレは 全てのガキのヒーロー だぜ? 」
「 ・・・ 止めておく 」
「 よしよし。 あ ジョー。 私道の復旧 しておけよ 」
「 あは アルベルトはん あんさん人使い、荒うおまっせ〜 」
「 なら お前も手伝うか? 」
「 ぼくがやるって。 坂 ガタガタにしちゃったからなあ
あ〜〜 あ ・・・ やれやれ ・・・ 」
「 ジョーはん。 豚マン、ようけ作っときますさかいな〜〜 」
「 へいへい ・・・ 」
― そんな < 裏方のやり取り > があったとは
サトナカエミは 当時も そして 現在に至るまで知ってはいない。
彼女が覚えているのは ―
少し昼寝をしていたらしく 目覚めればソファの隅に填まり込み
身体の上には ウサギ模様のタオルケットが掛けてあり ・・・
テーブルの上には 半分飲んだいちご・ジュースのグラスが 乗っていた
― ということだ。
カラン ・・・ 氷がひとつ とけ落ちていた。
「 ・・ あ〜 こおり ? 」
「 あら えみちゃん 目が覚めた? 」
「 ・・・ おねえちゃん ・・ うん ・・・
えみ おひるね してた? 」
「 そうね ちょっとくたびれちゃったのかな〜〜
あ えみちゃん? 残りのジュース 飲める? 」
「 うん! あ 〜〜〜 ・・・ おいし〜〜 」
「 そう? よかったわ。 このイチゴね このお家で採れたのよ 」
「 え お家で? 」
「 そうなの。 お庭に温室があるのよ。
ね? あとで一緒に ミニ・トマト 採りにゆかない? 」
「 わ〜〜〜 あ いちごも いい? 」
「 いいな〜〜 ぼくも行きたいな〜〜〜 」
ソファの後ろから 柔らかい声が聞こえてきた。
「 ・・・ だあれ? 」
「 ぼく。 ぼく ジョーっていうんだ。 よろしく えみちゃん 」
茶色の髪の青年が ひょい と顔をだした。
「 ・・・ じょ〜? おにいちゃん 」
「 そ! ねえ ぼくも一緒に温室 行きたいなあ 」
「 えみちゃん。 ジョーはねえ とっても食いしん坊なのよ 」
「 ふうん あ じょーおにいちゃんって〜〜
おねえちゃんの かれし? 」
「 え ・・・ あ あ〜〜〜 まあ そう かな〜 」
「 だったら ふたり でいってくれば?
えみ じゃましません〜〜 」
「 え〜〜〜 ぼくは みんなで行きたいんだけどなあ〜 」
「 ほんとう? えみ いっしょにいってもいい? 」
「 もっちろ〜ん♪ ねえ フラン 」
「 そうよ〜〜 あのね お昼ごはんのサラダに使いたいから
一緒に ミニ・トマト 摘みに行きましょう 」
「 うん! 」
「 ワテからもお願いするで〜〜 」
まん丸なおっちゃんが ひょい、と顔を出した。
「 ・・・だあれ? 」
「 ワテはなあ このお家の御飯担当のおっちゃんや。
嬢や 美味しいトマト、 採ってきてくれはりますか 」
「 はあい〜〜 おねえちゃん おんしつ 行こ! 」
「 はいはい 」
少女に手を引かれる形で ジョーはカワイイ竹籠を持ち
フランソワーズは コドモ用のハサミを手に 裏庭に向かった。
ここのおうち おもしろい〜〜 !
崖の上の不思議な建物に住んでいるのは ― 不思議なヒト達 だった。
父の事故の時 エミの家族はしばらくあのヒト達とすごした。
エミと一緒に海岸を散歩し 貝拾いをした あのお姉さんは ―
手を握ってくれた白い指はものすごく美しく 微笑は優しくて
いい匂いがして ― エミは いつも いつも 彼女の側にくっついて見とれていた。
「 えみちゃん 」
「 はあい おねえちゃん。 ここ きれいな貝 いっぱい〜〜 」
「 うふふ そうねえ ・・・ あ ほら そこの岩影にも 」
「 あ ほんと〜〜 きれい〜〜〜〜 ぴんく色? 」
「 それね 多分 桜貝 っていうのだと思うわ。
キレイに洗って取っておいたら ステキよ 」
「 うん! エミのタカラモノ〜〜
あ パパにもみせてあげる〜〜 パパも海が好きだから
きっと元気になるよね 」
「 そうね ・・・ えみちゃん パパが大好きなのね 」
「 うん! あ ママも好きだよ? 」
「 仲良し家族 でいいわね〜〜 」
「 おねえちゃんは? おねえちゃんも かぞく、好きでしょう? 」
「 ええ。 わたしにはね お兄ちゃんがいるのよ 」
「 あ じょーおにいちゃん のこと? 」
「 ・・・ う〜ん 違うのよ ちょっと似てるけど 」
「 ふうん・・・? 」
「 えみちゃんはシアワセね 」
「 おねえちゃんもシアワセでしょう?
ここのお家のヒトたち み〜〜んなやさしいもん 」
「 あら そうねえ・・・ 皆 優しくて
そうそう 面白いのよ? 」
「 ふうん ・・・ あ あの 茶色のかみの じょ〜おにいちゃんも
おもしろいね〜〜 」
「 おもしろい? そ そう? 」
「 ウン! すぐ まっかっかになるじゃん?
」
「 そうね〜〜 ホント、すぐに赤くなるのよ 」
「 そんでね〜〜 きいて おねえちゃん! 」
「 なあに えみちゃん 」
「 あのね! じょ〜おにいちゃんは ぜ〜〜〜ったいに
おねえちゃんのこと、 すき だよ! 」
「 え ・・・ 」
「 だってね〜〜〜 いっつもおねえちゃんのこと、みてるよ!
えみ、 ちゃ〜んと知ってるんだ〜 」
「 そうなの? うふふ ・・・ じゃあね おねえちゃんも
えみちゃんに ヒミツ、 教えちゃおうかな〜 」
「 え ひみつ?? なになに〜〜 」
「 うふふ ・・・ おねえちゃんもねえ
ジョーおにいちゃんが す ・ き ♪ 」
「 わあ〜〜〜〜〜〜 (^^♪ 」
― 他愛のない女子トークで盛り上がったりもしていた。
その後の ― 数日 なのか 数週間 なのか。
エミは不思議な体験をした ・・・ 気がするのだ。
皆で 大きな白い船? に乗って海を旅した。
それも 海の上 じゃないのだ 海の中を、 だ。
・・・でも それは ・・・
もしかしたらそれも 夢 いや アニメの見過ぎからの妄想 かもしれない。
ただ 覚えているのは一緒に過ごした人々がとても優しくて
( いろいろなヒトがいた 大きなヒト 黒いヒト 機械みたいなヒト
ヘンシンする人 などなど )
エミは少しも怖い思いをしなかった。
元気になったパパとママもずっと一緒だったし
あのお家にいたヒト達に 楽しく遊んでもらった記憶ばかりが残っている。
まん丸な御飯係 のおっちゃんは ママにいろいろな料理を教えていた。
「 あのな 奥さん。 腕のええ料理人は 一生安泰でっせ〜〜 」
「 はい ・・・ まあ そのまま焙っていいのですか? 」
「 そや。 熱々に 柚子か酢橘を ちゅ、や。
シンプルで出来立て がイチバンやで〜〜 」
「 なるほど ・・・ 」
赤毛の兄ちゃんは カード・ゲームを一緒にやってくれた。
「 いいか? これは エミとオレとの ヒミツ だぜ? 」
「 うん。 ばばぬき に ヒミツ があるの? 」
「 あるある! コレ 覚えればどんなカード・ゲームにも
いつだって勝てるぜ 」
「 ふうん ・・・? 」
( 当時は全くわからないままに教わっていたが
彼は 秘術・イカサマ を伝授してくれていたのだ
これについては 後日談が山盛り・・・となるのだが )
いつも遊んでくれた 大きな褐色のヒト。
彼の < 高い 高い > は 本当に高くスリルがあった。
「 水にも 空にも 精霊 ( スピリット ) がいる 」
「 すぴりっと?? 」
「 うむ ・・・ 彼らはいつだって ハナシかけてくれる。
えみ。 こころを透明にしておくといい 」
「 とうめい?? 」
「 うむ ・・・ 染まるな。 今のままのえみのこころを
もっていれば ― それでいい。 」
「 うん 」
銀髪のおじちゃんは 口笛でたくさんの曲を吹きエミと踊った。
おじちゃんと一緒だと えみはくるくる回ったりぽ〜んと跳んだりできた。
「 きゃ〜〜〜 」
「 お うまいぞ〜〜 ほうら〜〜〜 」
「 わあ ♪ 」
リードしてくれる硬い手が とても優しいので えみはご機嫌だった。
エミのパパ、サトナカ氏は 黒人の青年と意気投合したらしかった。
二人はいつも 機械を覗きこみ窓から海中をみつめ
額を突き合わせるようにして 図面を引いたり
意見交換をしていた。
「 ・・・ と こんな感じかなあ 」
「 サトナカさん ! すごいですね! フリーハンドですか! 」
「 いやあ 実際に見たから 」
「 そこまで潜ったんですか? 」
「 なんとか ・・・ 」
「 すごい! 」
「 いやあ ピュンマさんの足元にも 」
「 僕のは 機械のチカラ ですからねえ 」
「 けど それを操るのは ― アナタだ。 」
「 ・・・ ふふ。 海は いいですね! 」
「 ですね ! 」
海神 ( わだつみ )に魅せられたオトコたちは に・・・っと笑い合う。
そんな二人を眺めているのも エミには楽しい時間だった。
あの旅で なにがあったのか ― 今でもよくわからない。
そして ―
不思議な旅から戻ってから エミの父は 以前にも増して熱意をもって
潜水士の仕事に取り組んでいた。
「 パパ 変わったわ ・・・・ 」
「 ? ママ そう? 」
「 ウン。 パパは 前よりもっと 勇敢になったわ 」
「 パパ かっこい〜〜よね〜〜 」
「 そうよ! 恵美のパパは世界一の潜水士だわ 」
「 ね〜〜 (^^♪ 」
― エミが 小学生になってから 事故 が起こった。
Last updated : 04.25.2023.
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*********** 途中ですが
完全に 妄想話 であります☆
まあ 誰も読みにこないから いいかな〜〜〜
後半は さらに妄想が爆速する ・・・ 予定☆